命の故郷を見る

特に対外的な約束や予定の無い平日の休日。

いつものように楽器の練習をして、書き上げようと思っていた文章を書き上げてメルマガとHPで投稿し、昼食を食べ、さて次は何をしようかという時。

 

やることはあるにはありました。

 

家計簿が月末分からちょっと溜まっていたので、その整理とか。

楽曲制作とか。

今後のアルバム完成までの大まかな制作スケジュールを決めるとか。

ライブ活動の具体的なスケジュールを練るとか。

 

でもいずれもなんとなくできかね、もやもや悩んでいました。

 

それは何故か。

 

今回の千住博展に行くかどうかで悩んでいました。

 

 

元々千住さんのウォーターフォールシリーズはいつか見てみたいと思っていて、3月頃になんと地元北九州で展示があるということも駅のポスターで知っていました。

そして時は過ぎ、会期も6/16まで。

私のスケジュールだと、行くならこの日しか無かったのです。

でも、なぜか腰が重く、どうしようかと20分くらいうだうだと悩んでいました。

 

 

「音楽そのものに触れる時間を持つと決めたばかりなのに。」

「これは逃げなのでは?」

「見に行けばお金かかるし、グッズも絶対買ってしまうし。」

「前日までにスケジュールとして決めてないことを唐突にするために、午後からメイクすることも、電車に乗ってまで出かけることそのものも、なんとなく我が家的にはイレギュラーというか、いけないことのような気がする…」

と、色々諦める理由を頭に浮かべていたんですが。

 

 

「いや、そういう腰が重くなることこそ『小さな幸せキャンペーン』で積極的に叶えてあげるんやろ!」

「そもそも直感とか、その瞬間の気持ちで出かけることの何がどうして悪なのか?」

「未だに子どもの頃の門限とか、家族のルーティンを乱してはならないという感覚に縛られすぎているのでは?」

「何より、初めて駅でポスターを見た時の、行ってみたいと感じたあの自分の気持ちを大切にしろよ!」

という思いが出てきまして、私的には結構な決意で出かけました。

 

 

そこでホメさん(ホメオスタシス)をびっくりさせ過ぎないように、かつ今後もこういう感情を大切にして行動することを生活の一部にするために、こんなことを意識しました。

 

*できる限りオシャレしすぎないこと。

*できる限り荷物は最小限で、近所のコンビニまでお散歩するくらいの感覚で出かけること。

*母に出かけることを告げる時も、散歩に行くくらいの感じで「ちょっと出かけてくる〜」と軽く伝えること。

 

そうして駅へ向かい、電車に乗ってリバーウォーク(ショッピングモールのでかいやつ)へ。

その間、なんだかふわふわしすぎて、思考も全く働かず。

なんとも不思議な時間でした。

そして、自分の枠がまた一つ、外れた気がしました。

 

 

 

あらゆる道の真髄は同じ

 

そうして不思議な感覚のまま会場へ。

チケットを購入してから中へ入ると、あとはもう作品の世界に浸り、解説や制作過程の動画なども満喫しました。

 

今回の目玉は、金剛峯寺に奉納される2種類の襖絵を奉納前に見られるということ。

しかも展示の仕方も、奉納される建物の配置と同じように展示されていました。

 

シンプルな白とブルーグレーの世界がなんとも静謐でした…。

 

「断崖図」の和紙をくしゃくしゃにしたことによるリアルな崖感や、木々とその合間にある霧との濃淡も写実的過ぎるのに幻想的で、

念願のウォーターフォールシリーズにして、千住さんご自身の集大成とも言える「瀧図」の荘厳さは浄化力が凄過ぎました…。

 

もはやマイナスイオン出てました。

 

コの字型の巨大な瀧達に囲まれて、全身で絵を浴びるような感覚でしたよ…。

 

 

そして、この2作品の制作過程を追った10分程の動画も見たのですが、そこにも私にとっては大きな学びがあったんです。

 

動画で千住さんがお話されている中で、

「描く前に資料や写真やデッサンなどは沢山見るけど、最終的に描く瞬間には何も見ない。

そうして思い出して出てきたものだけが、自分というフィルターを通して出てきた自分の表現だから。」

というようなことを言われていたんです。

 

この言葉を聞いて体に物凄い電気が走るような感じがしまして。

 

なぜかというと、先日のラジオで我が愛しの源さんこと星野源さんも

「先人の音楽をそのまま真似するのは違う。

聴きまくったその先のどこかで自分の血肉となって、数ヶ月後か数年後か10年後かはわからないけど、ある時にその音楽の真髄にあるものが、自分のフィルターを通して出てくる。

それが自己表現。」

というようなことを言われていたからなんです。

 

 

絵画と音楽。

ジャンルは違えど、いずれもその道の歴史を継承し、そして自らが今この瞬間に新たな歴史を作り、次へ受け渡して行く、というその渦中のど真ん中にいる方々が、同じあり方を自ら感じ取って実践している。

 

それってすごいなと思ったんです。

 

千住さんは60代、源さんは30代。

世代もジャンルも違っていても、人類のあるべき姿、成長していく過程、人間の本質って、同じなんだなぁと。

 

そして、同じメッセージを近い時期に続けて2回も受け取ったということは、きっと今の私に必要なメッセージであり、これからすべきことのヒントがあると思いました。

 

会期始まってすぐにではなく、終わり際この日にここに来た意味はこれだったんだな、とある種の完璧なお膳立てを感じたのでした。

 

 

命の故郷を見る

 

そんなことを感慨深く思いながら、一つ下の階にある次の展示エリアへ。

そこにはこれまでの作品がいくつか展示されていました。

 

初期の作品の「終着駅」は、こちらへ発されるダークな色味の圧力が凄すぎて、絵に押し倒されそうなくらいの感覚になりました。

一瞬近付くのにひるんでしまいました。

 

それから遠くから見た時に、

「これは立体なんじゃないか?」

と本気で疑ったくらいに細かい窓のような部分の空間の凹みと、柵か窓枠のような十字の描き方が鋭くて繊細で、

近付けるギリギリまで近付いてようやく、これが平面に描いたものだと納得するくらいに、リアリティのある表現でした。

 

自然の風景を描く千住さんのイメージからすると、こういう人間の息遣いを感じるモチーフを描いた絵を見られるというのもすごく貴重でした。

 

 

そんな圧倒される力に押された後に見た絵が、本当に、本当にものすごい惹きつけられたんです。

今度は絵の方へぐぐぐっと縄で引っ張られるような感覚。

ここの重力どうなってんだという感じでした。

 

 

その3部作が、展示されていた順に右から「宙(そら)」「朝」「水」。

これも「終着駅」同様に何の前知識もなく初めて見ました。

 

 

金色がとても品のある、高貴な色味で、実際に朝日の光が水面に反射した時のような優しさもある色味でした。

でも木々や水際、動物達の姿は妙にリアリティもあって、現実なんだか空想なんだかわからなくなるくらい、時が止まって釘付けになってしまいました。

 

3番目の「水」を見た瞬間には、金色に輝く川の源にまるで自分自身の真の姿が映し出されるような気がして、そしてこの世の全ての命がこの川の流れに象徴されているような気がして、思わず泣きそうになりました。

 

そしてこの3作品を見て、私は何故か

「あぁ、この景色を私は見たことがある。」

と感じたんです。

 

具体的にいつどこで、という訳ではないんです。

でもとても懐かしかった。

 

 

それは、この光景が今の自分がこの世に生まれてくる前にいた場所のように感じたからです。

そして、きっとこの世での暮らしを終えた後に還っていく場所なんだろうな、と。

 

 

朝日の清らかで高貴で温かい光が、空間や水面を金色に優しく染めていく。

そしてその後ろを振り返れば、まだうっすらと夜の終わりが向こうに見えている。

 

その「終わりが終わって、始まりが始まる」、そんな瞬間が永遠に続く。

そんな不思議な世界。

 

きっと私にとっての天国ってこんな感じなんだなと思いました。

 

 

死後の世界や生まれる前の世界のイメージは人それぞれだと思います。

むしろ、実際具体的にどんな所なのかイメージすること自体もそんなにないかもしれません。

 

でも今回この絵を見て、普段具体的にイメージはしていなかったけど、心の奥深くで抱いていたものを、具体的に表してもらったような気分でした。

 

 

エネルギーが満ちる感覚を持ち帰る

 

そんな自分の深層心理に触れるような体験の後も、まだいくつか展示があり、その中でも「龍神Ⅰ・Ⅱ」はまたライティングの工夫を凝らした展示で、屏風の滝に囲まれた中央に座布団でも持ってきて、永遠に瞑想したくなるくらいの、これまた浄化力の高い場でした。

そんな感じで存分に浄化のエネルギーを浴び、自分の内面とも向き合ったひととき。

 

特に気に入った3部作と「瀧図」のポストカードと、「瀧図」と「断崖図」を表紙に使った蛇腹帳(ご朱印帳にします!)を買って帰りました。

勿論紙に印刷したものなので、本物ほどの迫力があるわけではなく、金色の色味もどうしても違ってしまいます。

ですがこれは、ポストカードそのものを飾って楽しむためというより、ポストカードを見た時に、本物を見たあの瞬間の自分の感覚を思い起こしてエネルギーをリセットして高めるための依り代として購入しました。

 

自分がリセットできたりエネルギーが高まった時の感覚を思い出せるきっかけになるアイテムを意識的に身近に置いておくことで、より無駄な浪費がなく、早めに回復ができるのではないかなということで、現在実験中です。

私は毎朝ベッドから起き上がった時の目の前に見える位置に飾っていますが、なかなか良いですよ♪

おススメですので、ぜひ自分の心をリセットしてくれたり、幸せな気持ちになったあの時を思い起こしてくれるアイテムを身近な所に目につくようにしてみてください(^-^)

 

 

…ということで、行くまでにはかなり決意を要したこの選択。

結果はとても良かったです!!

 

最初に感じた自分の感覚、希望を叶えてあげることが、自分との信頼関係を築いて自信をつけることになり、また自分のエネルギー状態を高めてくれることにつながるようです。

 

おかげさまで、この展示に行って以降、音楽活動においてもやりたいけど手を出さずにいたことに、さらっと触れられるようになったり、そこからやってみたいことがもっと具体的になったり、実際その準備を進めたりしています。

いやー、行って良かった!!

 

みなさんもぜひ、自分の本音に耳を傾けて、叶えてあげて下さいね!!

 


無料メルマガ「江村梨紗の 【SOZO☆LIFE】」へのご登録はこちらから


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA